成績評価、研究指導の方法及び修了要件
成績評価の方法
基礎科目、データサイエンス科目、価値創造科目の成績評価の方法は学部の講義と同様にS,A,B,C,Dでつける。講義内容の理解度をテスト、レポートあるいは口頭発表で判定する。ただし、このうちデータサイエンス科目はデータあるいはプログラミングを使った演習が多いので、演習での成果を必ず評価に含める。 演習での成績評価は学生の口頭発表の回数とその内容?プレゼンの評価で行う。演習は指定された論文の報告と討議を行うので、それを規定階数行うことを単位取得の条件とする。また、自分の修士論文の中間報告もこの場で行い、皆からの質疑応答を受けることを必須とする。中間報告なしでの修士論文提出は認められないため、演習での発表は必ず行われ、演習の評価点に加えられる。 演習は学生にとって、修士論文作成中の発表者にとってアドバイスを受ける場であり、また他者を説得するコミュニケーション能力を高める訓練の場でもある。さらに質問する側にとっても、他者を理解し、幅広い知見を得る機会である。なお、この重要性に鑑みて、1年次の秋学期から卒業時まで継続して演習を行い、必修とする。
修士論文の研究指導(修論指導)の方法
修士論文の作成は、研究指導(修論指導)で行う。研究指導(修論指導)は学生と指導教員が1対1で行う演習科目であり、学生のテーマに合わせて一人(場合によっては副担当を含めて二人)の指導教員がついて1年間にわたって指導を行う。修士論文執筆に伴うあらゆる課題、すなわちリサーチクエスチョンの設定、分析方法の選択、データ収集、論文構成などについて助言を与え、論文の完成を促す。 修士論文の完成度を高めるため、中間的な段階で発表と討論の機会を設ける。発表の場としては演習を活用する。演習には3人の教員がおり、他の大学院生が全員いるので、この場でアドバイスをもらい、論文の完成度を高めていく。多くの人からの質疑を受けることで、幅広い視野を獲得し、論文を批判に耐えうるものにすることができる。 また、指導教員は論文の中身だけでなく、発表の仕方についても指導を行う。多くの人の前でのプレゼンテーションを繰り返すことで、学生はコミュニケーション能力を高めることができる。データ分析でよい結果を出してもそれを伝える力がなければ現場では力になれないのであり、人に伝える力も学ぶ必要がある。指導教員はこのコミュニケーション能力の育成にも力を注ぐ。
学位論文の審査体制
修士論文の審査は、主査1名と副査1名で行う。指導教員が副査となり、主査は指導教員以外の人から大学院教授会で決める。
以下の観点から学位授与の判定を行う。
(1)修士学位論文は、論理性?新規性があり、十分な論拠に基づいていること
(2)課題を解決する能力を証明する考察を含み、実践的な価値があること
(3)先行研究や関連研究に関する文献などが広く調べられ、整理されているとともに、研究分野における学位論文の位置づけが適切に表現されていること
上記評価項目すべてが満たされていると認められた者を合格とする。
なお、研究倫理審査については本大学の研究者の倫理綱領に基づき研究科長が審査し、判定を行う。倫理審査は中間審査段階に行う。

審査の手順
修士論文審査は次の段階を経て行う。
(1)初年度研究成果発表
初年度の成果を演習の場で発表する。初年度はテーマ設定と必要なデータ入手方法、そして適切な分析手法の選択ができているかどうかを審査する。審査は演習を担当する3人の教員が行い、助言をあたえるとともに必要な修正を行う。
(2)中間発表会
2年次生の秋学期の講義中で中間発表会を行う。中間発表会の場としては演習の場を利用する。中間発表会には主査?副査が同席し、修士論文の完成見込みがあるかどうかを審査する。完成見込み有りとした場合、提出の許可を出す。この段階で提出不可と診断された場合、修士論文は提出できない。なお、中間発表会は繰り返すことができる。
(3)最終審査
2年次生の1月に締め切り日を設定し、修士論文を提出する。評価はA、B、Cの3段階とし、主査?副査の独立した審査で一人でもCをつけるとその段階で不合格となる。2人ともB以上の判定をした場合、口頭試問に進む。口頭試問に合格すると修士号を認定する。なお主査?副査は合議の上で決定を行うが、意見が不一致の時は主査が決定する。
修了要件
以下の二つの条件で修了とする。
(1)必修単位をすべて取得し、必修?選択をあわせて総単位数で30単位を取得すること
(2)修士論文の審査及び口頭試問に合格すること
修士課程の学位論文の評価基準
修士論文は、自らたてた問題意識にもとづいて課題を設定し、分析に必要なデータ収集を行い、多様なデータ分析手法の中から適切な方法を選択して問題解決を目指す。その評価基準は、つぎのように定める。
《修士論文の評価基準》
① 自らの問題意識にもとづいた明確な研究課題を設定していること。
② 研究計画の立案及び遂行、データの収集及び先行研究などの取り扱いが適切であること。
③ データの収集に当たっては情報セキュリティ、プライバシーなどに配慮してあること。
④ 課題の解明に適切な分データ析手法が採られていること。
⑤ 論旨が明確かつ一貫しており、推論過程が論理的に展開されていること。
⑥ 参考文献や注釈等の取り扱いにおいて、学術論文に必要とされる形式をそなえていること。
⑦ 論文の成果が課題解決に役立つものになっていること。
⑧ 研究者倫理を遵守したものになっていること
入学から修了までの流れ
